毎日新聞「今週の本棚」 2024.9.21
脇田成『日本経済の故障箇所』日本経済評論社 今世紀に入ってからの日本経済は資本主義ではない。ここで言う「資本主義」とは、企業家が銀行から借り入れたり、株式を発行して他人資本を集め、不確実性である世界に挑む経済制度、という ...
毎日新聞「今週の本棚」 2024.7.27
細田昌志『力道山未亡人』小学館 敗戦により日本の人心が荒廃していた昭和20年代、折から始まったテレビ放送においてアメリカ人レスラーを空手チョップでなぎ倒し、爆発的な人気を博した。ところが1963年末、赤坂のクラブで腹をや ...
毎日新聞「今週の本棚」 2024.6.1
山本理顕他『地域社会圏主義』トゥーヴァージンズ 本書は2012年に刊行され、翌年増補版、2023年10月に復刊された。主著者である山本理顕氏は2024年に「建築界のノーベル賞」とも称されるプリツカー賞に選ばれた。 山本 ...
毎日新聞「今週の本棚」 2024.4.20
M.ヘラー、J.ザルツマン『Mine!』早川書房 日本で平和に暮らす我々は、「所有権」は国から保障されていると漠然と考えている。掌の中のスマートフォンや茶碗は確かに自分のもので、盗まれれば警察が取り返してくれる、と。と ...
毎日新聞「今週の本棚」 2024.2.24
吉川祐介『限界分譲地』朝日新書 バブル崩壊の直撃を受けた不動産は、その後どうなるのだろう。土地や家屋は価格が下がり、やがて底値で売却される。もしくは人口減と相まって無人の荒野に戻る、というのが一般的な想定だろう。 新幹線 ...
毎日新聞「今週の本棚」 2024.2.10
金丸裕子『自由が丘画廊ものがたり』平凡社 日本人画家の抽象画が内外のオークションでブームを呼び、1950~60年代の作品は億の桁で売買されている。だが芸術は市場の存在も定かでない時期にこそ息づいている。 「自由が丘画廊」 ...
毎日新聞「今週の本棚」 2024.1.6
佐藤俊樹『社会学の新地平』岩波新書 「資本主義の始まり」を論じたマックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(1904~05、増補版1920)につき、これまでの通説はこうだ。カルヴァン派プロテス ...
毎日新聞「今週の本棚」 2023.12.23
①高木久史『戦国日本の生態系 庶民の生存戦略を復原する』講談社メチエ ②R.D.パットナム、J.R.ギャレット『上昇 アメリカは再び【団結】できるのか』創元社 ③D.グレーバー、D.ウェングロウ『万物の黎明 人類史を根本 ...
毎日新聞「今週の本棚」 2023.11.11
D.グレーバー、D.ウェングロウ『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』光文社 文字記録のない先史を人類史としてとらえ直す著作が出版界で快進撃を続けている。歴史学者Y.N.ハラリ『サピエンス全史』や進化心理学者S.ピン ...
毎日新聞「今週の本棚」 2023.9.16
R.D.パットナム、J.R.ギャレット『上昇 アメリカは再び【団結】できるのか』創元社 2021年にアメリカで勃発したトランプ支持者による合衆国議会議事堂襲撃は想像を絶する事件だった。民主主義を、誰を支持するのか以上に投 ...