山田雅彦『売り渡される食の安全』角川新書

安倍政権は、農水省や消費者庁に意を汲んだ人材を配備し、試験場が育んできた種子にかんする知見を民間に明け渡し、自家採種を原則禁止とし、ラウンドアップ訴訟につき周知することなく成分の残留基準を大幅緩和して、非遺伝子組み換えの表示を事実上禁じている。「数年の間に日本は世界のゴミ捨て場になってしまう」と著者は怒る。

種子にかんする知見は地域という「共」に属している。安倍政権では公私混同が横行するが、それは「共」の解体と売り渡しに手を染めたからだろう。