湯澤規子『胃袋の近代』名古屋大学出版会

これまで経済学や社会学・歴史学は「職」から近代化を論じた。しかし背後にある「食」に無理が生じると、進歩は止まる。

著者は小説やルボルタージュ、膨大な調査資料とみずからの調査を元に、賃労働者にとっての「食」がいかに賄われたかを浮き彫りにしている。とりわけ引用が鮮やかな、社会経済史家の渾身の書。