「主体性消したコンビニ 重なる日本」

「たどり着いた平均的な欲求・個性」

 流通はそれぞれの時代に価値を提案してきた。「よい品をどんどん安く、より豊かな社会を」(ダイエー、中内功)や「量から質へ」「無印良品」(西武百貨店、堤清二)、「小売り業は平和産業である」(イオン、岡田卓也)といった具合に。

 ではコンビニは何を残したのか。誤解されている面があると感じる。コンビニの最大の特徴は、モットーを掲げた流通の雄たちとは異なり、理想や思想を持たない点にある。

 消費者が求める欲求が市場においては量だけでなく商品の種類まで生産者に実現されるという「主観主義」を提起したのは、C.メンガーを創始者とするオーストリア学派だった。その意味で彼らが言う「消費者主権」は、情報伝達システムとしてのコンビニが実現したかに見える。

※新潟薬科大学の2024年入試で出題されました。