ダニ・ロドリック『グローバリゼーション・パラドックス』白水社。

グローバル市場・民主主義・国民国家という三つの価値のうち、同時には二つしか実現しない、と主張する。
 グローバル市場と国民国家の合体したのが十八世紀までの重商主義。東インド会社のような巨大企業は取引リスクを削減するよう国家から徴税権や司法権、軍事まで勅許されていた。グローバル市場と民主主義を組み合わせたのがEUのような連邦制だが、いざ金融危機が起き債務国を救うためにドイツが消費税増税を受け入れるかというと、分裂しかねない。結局、グローバル市場のガバナンスには、その自由を多少は規制しても民主的な国民国家の多様な政策に任せるしかなくなる。