鈴木亘『医療崩壊 真犯人は誰だ』講談社現代新書

そもそも日本の医療提供はどんな仕組みで行われ、諸外国と比べてどう違うのか。なぜコロナ治療に医療資源を回すと日本の医療体制は簡単に崩壊するとされてきたのか。
日本が体験した「医療崩壊」は、保健所が入院を調整しても都道府県が確保した入院病床に入れないコロナ待機患者が溢れてきた事態を指す。
こうした医療崩壊が「謎」であるのは、日本では100万人当たりの感染者数、死亡者数が少ないのに、病床数は1000人当たり12.8とOECD加盟国平均の4.4と比べ突出して多いからである。「病床自体は豊富に存在するのに、コロナ病床として利用できる割合が非常に小さかった」のだ。
日本の医療は最初にどの病院にかかるのか制限がない「フリーアクセス」を特徴とするため、病院相互が「商売敵」で、「病院間の不連携・非協力体制」が常態化している。「政府のガバナンス不足」はそれを克服できなかったのだ。
そもそもコロナ専門の野戦病棟を、レゴのようなブロックの部屋で組み立てれば専門病院は簡単にできたはず。場所は築地市場跡でもよかっただろう。