第八回 城下町の町づくり-「拡張開発型」から「整備再生型」へ-

古い町において、軸であることが不明確となった部分はメリハリをつけ、劣化した部分は修正するといった受け継ぎ方がされるべきだろう。では伝統集落を実測してみせた実際には宮脇檀ははどいう方法を考えていたのだろうか。
宮脇はこの問題をテーマに論じてはいないが、それに相当する具体例を挙げ、分析している。それが1985年、兵庫県の北部に存在した城下町である出石(現在は統合されて豊岡市の一部)に向けて書かれたパンフレット『出石町らしさをつくりだすために(概要)-自然と歴史が日常生活に生きづくまちをめざして-』だ。
この提言は宮脇が街の修復について考察した文書として貴重である。