毎日新聞「今週の本棚」 2025.8.9
井上弘貴『アメリカの新右翼』新潮選書
7月の参院選では非自民で「保守」を訴える政党が躍進した。ながらく非差別やグローバリズムが目指すべき理念とされてきたが、本音が噴き出したとも言える。では欧米ではどうなのか。
第二次トランプ政権は「関税」ばかりが注目されるが、背景にはアメリカにおける右派進歩主義の台頭がある。トランプ大統領は就任式でジェンダーを生物学的な男女に限定すると宣言、政府によるDEI(多様性)プログラムを廃止した。本書はアメリカの急激な右旋回につき、多様な人物を通じて素描している。