毎日新聞「今週の本棚」 2025.11.22
大西康之『修羅場の王』ダイヤモンド社
書名の「修羅場」とは会社の倒産現場。
「王」とは破産が裁判所に申請された際、任命を受けて財産の管理処分を差配する「破産管財人」のこと。会社更生法の「更生管財人」であれば、会社の再生計画を立案し、遂行する権限をも併せ持つ。
そうした管財の達人が、弁護士の瀬戸英雄だ。債権者・債務者を含むすべてのステークホルダーに粘り強く納得を求め、「法的整理の鬼」の渾名を持つ。本書は日本航空(JAL)が空前絶後の2兆3200億円超の債務を負い2010年1月19日に会社更生法を申請するまで、民主党政権誕生時から142日間の瀬戸を追うドキュメンタリーである。