11回 阪神間モダニズムの光と影

水道橋博士のメルマ旬報 vol.107-(2/3) 2017年1月10日号

祖父・頼介はたたき上げの起業家。東出町から東進して、ついに昭和11年に「日本一の成金村」住吉川沿いに760坪の大邸宅を構える。

ところが息子(私の父)の孜は、たたき上げの起業家という役割はまったく引き受けず、典型的な成金の2代目だった。それは何故か?

同じ住吉川沿いの家をモデルに谷崎潤一郎が昭和11年末という設定でスタートさせたのが『細雪』、船場文化の物語である。

住吉川沿いは、たたき上げの下層文化と、船場の「阪神間モダニズム」という上層文化の混在した町だった。孜は、『細雪』で妙子に翻弄される奥畑のボンにうり二つだつたのだ。