小売り業界誌「商業界」のセミナーで、堤清二氏の講演を受け、シンポジウムが開かれる。

パネラーは、堤清二・岡田卓也・倉本初夫(本誌主幹)・栗原一博(ダスキン)の各氏。昨年はパルコ買収をめぐり、イオンは確執があったばかり。堤・岡田両氏は若い世代に小売業をどう指南するのか、それとも観客そっちのけで激突か?というわけで、紹介文を書きました。私は司会です。

http://www.shogyokai.co.jp/seminar/2012zemi/curriculum/index.html

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現在の日本の消費社会は、セブン・イレブン・グループと岡田卓也名誉会長が成長させたイオン・グループに牽引されているといって過言ではない。それらは日本の津々浦々に出店し顧客の利便性に限りなく奉仕する一方で、地方の歴史的差異を消し去り、消費文化も西欧的な成熟に向かわせなかったという批判も受けている。
対照的に堤清二率いるセゾン・グループは、男性による仕事中心の社会に生活の公共性を取り戻すという高踏な理想とともに消費文化の洗練と成熟を求め、1980年代初頭までは「生活総合産業」の理想と利益拡大の両立を奇跡的な水準で達成したが、その後はバブルの崩壊とともにグループの解体を余儀なくされた。セゾン文化はバブル期の「軽チャー」と揶揄されるが、しかしお手軽な文化を先鋭的に批判する現代美術を日本に定着させたのはまさにセゾン文化財団の貢献である。
60周年80回を迎える「商業界ゼミナール」は、現在の小売業界を率いるイオン・グループの礎石を築いた岡田卓也とともに、日本の消費社会史において忘れがたい功績を残した堤清二を迎える。小売業にとって、一般に喧伝される社会貢献以外の理想は不要なものなのだろうか。セゾン・グループの絶頂期を知らない若い世代に問いかける。