第11回(最終回) 時がつくる場所

地方の町は、立地の客観条件において都会に比べて劣位にあるのは自明だから、せめて歴史や美観、社会秩序で際だった個性を持つならば延命が可能な場合もありうるだろうが、むしろ「コモンズの悲劇」に見舞われるケースが稀ではない。小規模であれ「都会」と呼ばれた町も、やがて自己維持できなくなる日が来そうである。
日本における「ストックとしての住宅の資産額が、住宅投資額の累計を遙かに下回っている」という事実、「時がつくる場所」を積極的に捨てていったという事実は、不気味な未来を予告している。

※本連載はまとめて出版します。