「比較劣位の産業でも存在意義があれば残せ」

不思議なのは、なぜ日本の国際経済学者がいっせいに絶対優位理論を振りかざすようになったのかということだ。比較優位論を無視するとしてもなぜかをしめさなければならない(ケインズは少品種大量生産の技術が普及したことで自然の差がなくなったから、としている)し、それでも社会的規制は配慮しなければならない。

また、TPPに参加したら輸出が伸びて経済成長できるなんて、真っ赤なウソである。仮に輸出が伸びたところで、早晩、円高になるだけだからだ。実際、トヨタは国内での生産を減らすと表明した。日本を捨てる企業の主張を国が推進するというおかしなことになっているのだ。

TPPに参加しても北海道や東北で土地を集約すれば大量生産で勝機あり、と推進論者は言う。しかしそれはトヨタが円高にするハンデを乗り越えるほどの勝機なのか。実際には、農協的な保護が崩壊するだけだ。しかし民主党は農家に所得を戸別保障するとも言っている。その赤字を税で補填しようなどとすればさらに消費税を上げようということになるだろう。